相続手続きの行政書士・司法書士違い

司法書士と行政書士の違いについてよくわからない方も多いのではないでしょうか。

私は現在、司法書士・行政書士両方登録しています。難易度からすればはるかに司法書士のが難しかったです。

行政書士は司法書士試験合格後に行政法を勉強し1回で合格できました。司法書士は2年かかっています。試験制度については後日お話します。

しかし、実務になれば試験の難易度など関係ない!

依頼するときも違いがわかれば、どこまでやってくれるのかわかりやすくなると思います。

今回は「相続の実務」において司法書士と行政書士の比較をしてみます。





戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍・住民票の取り寄せ

①戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍・住民票の取り寄せ・・・・司法書士○ 行政書士○

?これは司法書士・行政書士どちらもOKです。国家資格者として業務の範囲(司法書士なら法務局に提出する書類の作成、遺産整理業務、行政書士なら遺産分割協議書等の代書権限に付随して)で戸籍を集める権限があります。

委任状なしで戸籍を請求できる書式があります。職務上請求書と呼ばれます。個人情報の収集にあたるので資格者が戸籍を取得するには正当な理由として何の業務に使うのか?依頼者は誰か?どこに提出するのか?等厳格に記載しなければなりません。

役所に出すと通常は厄介な書類が必要な場合でも、この職務上請求があれば一枚で戸籍・住民票等を取得できます。

遺産分割協議書の作成

②遺産分割協議書の作成・・・・司法書士○ 行政書士○

?相続する遺産をどのように分けるかの書面です。相続人全員の実印の捺印、印鑑証明書が必要です。相続人全員ですので認知症の方が意思表示できない場合でも、行方不明の方がいる場合でも全員の実印が必要です。

行政書士はこの遺産分割協議書の作成で「相続代行」等の名称で業務を行っていますが、後に説明する不動産の名義変更ができないので、戸籍取り寄せ、遺産分割協議書の作成で大体10万円~の事務所が多いです。

※遺産分割協議書で300万円といった事例もあり、この点髙くなりがちです。司法書士は不動産の名義変更に付随して作りますので費用は2万円~髙くても5万円の事務所が多いです。

不動産名義変更(相続登記)

③不動産の名義変更(登記)・・・・司法書士○ 行政書士×

行政書士は登記書類を作成した時点で司法書士法により罰則です。違法な行政書士って、お客様を法務局に行かせて報酬とるのですかね?しかも、見つかったらお客様に迷惑かかる。私の周りにはそんな馬鹿げた行政書士はいません。また、行政書士ができないので提携司法書士に任せる場合、報酬は別途になります。つまり、料金がかさんでくる。

司法書士は不動産名義変更(登記)のエキスパートですので代理人としてすべて手続きできます。不動産は相続について多くのケースで絡んできますのでこの点司法書士に軍配が上がります

相続放棄

④家庭裁判所での相続放棄の手続き・・・・司法書士○ 行政書士×

?裁判所関係について、行政書士は一切タッチできません。行政書士試験では、民法の勉強で訴訟関係も聞いたくせに・・・・・。なんだかな。

んーしかし、実際には民事訴訟法、要件事実を学ばないと民法をわかってるとはいえませんが。。

株式・預貯金解約名義変更

⑤株式・預貯金解約名義変更・・・・司法書士○ 行政書士△

?司法書士は遺産整理代理業務(施行規則31条としてできます。)、行政書士は代書業務としてできます。ただし、行政書士の場合あくまで代書業務なので依頼者の代わりに代理で署名捺印はできないものと思われます。なので書面を依頼者に渡し、署名捺印してもらいます。委任状での代理は司法書士(相続人全員の同意ある場合に限る)か弁護士になるでしょう。金融機関への提出する書類はご事情によりテクニックが必要となるため、実務経験が豊富なものに任せた方がよいです。

金融機関の書類にただ書いて出すだけではなく、相続税や遺産分割方法、他金融機関へのプライバシー保護、戸籍の収集が必要になってくるからです。

遺言の検認申立

⑥家庭裁判所での遺言検認申立・・・・司法書士○ 行政書士×

手書きで書いた遺言書は、相続後、家庭裁判所にて「検認」手続きを取らなければいけません。

検認とは遺言書が有効になるための検査ではありません!

遺言書の「存在」を保全する手続きです。つまり、無効で検認手続きは必要です。

この検認手続きが結構時間(資格者が行って1カ月から2か月)と手間がかかる。

故人の出生までの戸籍を全部揃えないといけないし。だから自筆証書遺言は欠点だらけ。

このとき、行政書士は職務外なので戸籍を集めることもできません。

自動車の相続による名義変更

⑦相続による車の名義変更・・・・司法書士× 行政書士○

え!司法書士できない!ここにきてラストを飾るところが、知名度の高い行政書士の力!行政書士をもっておいて損は全くないですよ。

ただ、、、車の名義変更簡単なので、戸籍取り寄せや遺産分割協議書作成を専門家にまかせてご自身で提出される方も多いです。

山林等を相続した場合の届け出

⑥相続による山林の届出・・・・司法書士× 行政書士○

?また、司法書士できない!不動産の名義変更ができるにもかかわらず、役所への山林の届け出を代行できない。ここで行政書士は役所に届け出ができますので不動産の筆数が多い田舎や地方では行政書士が生きてきます。

わたしも北海道の山林25筆を相続登記した後、行政書士資格で届出をしたことがあります。報酬は付随業務なので8,000円くらいからが多いです。

まだまだありますが、こんな感じで太枠はつかめます。司法書士=法務局・裁判所に提出する書類の作成ができる。 行政書士=役所に提出する書類の作成ができる。次回もいろいろな業者を含め比較してみたいと思います。

当事務所では株式の相続手続きも迅速な遺産相続承継を可能としております。

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