FP司法書士の安津畑です。先週はかんぽ生命の保険金請求代理やらもろもろの書類を提出にゆうちょへ行ってまいりました。
窓口担当者が法律に詳しくないので手続き確認の電話で待たされるのが困ります。ただ、わたしはゆうちょ銀行によく行くので顔を完全に覚えられていますので手続きが早くなっています。
今回担当しているケースがお亡くなりになった方に子供がおらず、兄弟姉妹の甥や姪が手続きが出来ず困っているケースです。生命保険金の受取の話が出てきましたので、相続に関係する生命保険の基本的な知識やら法律やら税金やらのシリーズを書いていきます。
基本的な生命保険金の知識!
保険会社の利益は
①予定死亡率によって見込まれた死亡者数よりも、実際の死亡者数が少ない場合に、生ずる利益(死差益)
②予定利率によって見込まれた運用収入よりも、実際の運用収入が多い場合に生ずる利益(利差益)
③あらかじめ差し引いた経費よりも実際の運用コストが低い場合に生じる利益(費差益)
これらで収益をあげていることを念頭に考えなければなりません。
つまり、様々なデメリット・メリットを考慮して生命保険に入らなければいけません。中小企業の社長さん勧められて入ってしまった不必要な生命保険を、リスケの際には見直しも行いますので知っておかなければいけない知識であります。
以下基本的な生命保険をタイプにわけてお話ししていきます。
個人の方を対象とした生命保険の説明やら特徴!
定期保険とは??
一定の保険期間の間に死亡・高度障害になった際、保険金が支給される制度です。
保険期間が経過するにつれて保険金額が減少していく「逓減定期保険」、反対に増えていく「逓増定期保険」など多様な形があります。
よって、一定期間の死亡保障に使う予定で組まれたものですが、定期保険の商品は混合型として複数の保険の中に入れられているケースが一般的ですので気を付けてみなければなりません。
定期保険の特徴
保険料 | 保険料が安いのが特徴です。 |
満期金 | 満期になると保障はなくなります。このとき満期金は受け取れません。 |
解約返戻金 | 一般に「掛け捨て」と呼ばれているタイプです。返戻金はありません。 |
収入保障保険とは??
定期保険のうち、死亡・高度障害になった場合に年金形式で保険金を支給できるようにしたものです。長期間の死亡保障に使うものです。
収入保障保険の特徴
保険料 | 保険料が一番安いのが特徴です。 |
満期金 | 定期保険なので満期になると保障はなくなります。このとき満期金は受け取れません。 |
解約返戻金 | 原則ないですが、解約返戻金があっても非常に少ないものです |
終身保険とは??
一生涯の死亡保障が得られる保険金で、だれでも必ず死亡保険金を宇受け取れます。満期がありません。一般的に一生涯の保障や貯蓄のかわりや相続対策など幅広く活用されるのが多いのがこのタイプです。
終身保険の特徴
保険料 | 保険料は定期保険より高額になります。 |
満期金 | 満期がないので満期金は受け取れません。 |
解約返戻金 | 死亡保障が不要になれば、解約返戻金をうけとれます。ただし、終身保険の解約返戻金は保険金額よりは少なくなります。 |
養老保険とは??
養老保険は定期保険のように期間が決まっている保険(契約中に死亡すれば死亡保険金がうけとれる)なのですが、満期時に生存していれば生存保険金(満期金・死亡保険金と同額)が支払われる保険です。
終身保険の解約返戻金は保険金額よりは少なくなるのに対して、養老保険では万一の受け取る保険金額と満期金額は同じです。
そのため、死亡保障と貯蓄性を兼ね備えた保険で、使っている方も多いです。
しかし、そのぶん、保険料は高くなってしまいます。
養老保険の特徴
保険料 | 保険料は一番高額になります。 |
満期金 | 満期時に生存していれば生存保険金(満期金・死亡保険金と同額)が支払われます。 |
解約返戻金 | 解約すれば解約返戻金が受け取れますが、解約時期によっては元本割れのおそれも発生します。 |
定期保険特約付終身保険とは??要注意
終身保険を主契約にし、定期保険を特約として付加したタイプです。定期保険の期間を10年または15年で更新していくタイプが多いです(定期型)。
高齢で亡くなっても死亡保険金がもらえる終身保険は、安心ですが保険料は高くなります。一方、一定期間しか保障しない定期保険は、保険料が安いですが、満期まで生存していたら掛け損になってしまいます。
このような両方の保険の欠点を補う目的で混合的に作られたのが、定期付終身保険なのですが欠点が多いです。更新型の保険料は、更新の度にその時の年齢や保険料率によって再計算され、更新ごとに保険料が上がるシステムですので気をつけなくてはいけません。見直しをしたほうがいい保険のひとつとしてよくでてきます。
定期付終身保険の特徴
保険料 | 保険料はやや低くなります。しかし更新時に上がるのでデメリット。他に特約が付いている(入院特約など)と自動的に定期保険特約と同じ保険期間が定められます。当初の保険料が安くても、更新型の定期付終身保険に特約を付けた場合には更新後の保険料がかなり高くなってしまうので避けるべきです。 |
満期金 | 満期になると保障はなくなります。このとき満期金は受け取れません。 |
解約返戻金 | 解約すれば解約返戻金が受け取れますが、解約時期によっては元本割れのおそれも発生します。 |
こども保険(学資保険)とは??
主に子供の教育資金の準備を目的とした保険で、通常親が契約者、子供を被保険者で加入します。親が途中で死亡すると、その後の毎月の保険料の払い込みは免除となり、保険料の払い込みをしなくても、生存給付金や満期保険金を受け取ることができます。これが保障です。
こども保険・学資保険の特徴
保険料 | 保険料は一番高額になります。 |
満期金 | 満期時に生存していれば定期的に祝い金がもらえ、満期になれば満期金が受け取れます。 |
解約返戻金 | 解約すれば解約返戻金が受け取れますが、解約時期によっては元本割れのおそれも発生します。 |
アカウント型保険(利率変動型積立終身保険)とは??要注意
アカウント型保険(あるいは自由設計型の保険)とは、アカウントと呼ばれる貯蓄積み立て部分を主契約にして、定期保険や医療保険など様々な保険を特約につけられる総合保障タイプの保険です。定期付終身保険から終身保険まで取り外した損してしまう保険が流通していますので注意が必要です。
アカウント型(自由設計型)保険の特徴
保険料 | 貯蓄機能を持つ積立口座を主契約とし、死亡・医療・ガン・介護といった保障を特約などの形で上乗せして組み合わせる二階建て構造となっていますので変動あり。 |
満期金 | 満期になると保障はなくなります。このとき満期金は受け取れません。 |
解約返戻金 | 終身保険部分は解約すれば解約返戻金が受け取れますが、解約時期によっては元本割れのおそれも発生します。 |
人の生死にかかわる事故を対象とした生命保険・損害保険に分類することが難しい保険について説明
医療保険と医療特約とは??
医療保険とは、病気やケガで入院・手術をした時や、退院後に通院したときなどに給付金が支払われる保険です。原則として入院しない場合は補償されないのが特徴です。
医療特約とは、終身保険等の主契約に付帯して加入する保険特約の事で、傷病特約や疾病入院特約、通院特約等があります。
がん保険とは??
がんと診断されたときから、入院・手術・通院・退院後の療養等を補償する保険のことです。がんによる入院の際には、入院給付金の支払限度がないのが特徴です。
通常、生命保険では保険会社による申し込み(契約)の承諾を前提に、契約者・被保険者が記名捺印された申込書の提出、健康状態の告知書の提出、1回目の保険料の払い込みがなされてから保障が開始されることになります。
このように、保障(保険会社が保険金や給付金を支払う義務)がスタートする日のことを「責任開始日」といいます。この責任開始日がすぐに始まらず、通常の責任開始日から3カ月または90日のあいだにがんと診断されても契約は無効で保険金は支払われません。
生前給付型保険とは??
特定疾病保障保険
がん・急性心筋梗塞・脳卒中の病気診断があり、がんの場合は、診断確定されれば、給付金が支払われます。
脳卒中・急性心筋梗塞の場合は、その状態が一定の期間(通常60日が多い)継続し、さらにその後も医師からその病気により療養する必要があると診断された場合に、死亡保険金と同額の給付金が支払われます。
いずれかの給付が行われた時点で契約は終了します。
リビングニーズ特約
医師によって余命6カ月以内と診断された場合に死亡保険金が支払われる特約です。
この特約の保険料は不要です。保険金を受け取った後、6カ月経過後も生存した場合でも保険金の戻し入れは不要です。
介護保険とは??
介護保障保険・特約
寝たきり・認知症で介護状態になった際、介護一時金や介護年金が支払われる保険や特約の事をさします。
介護費用保険
介護にかかる入院費・治療費・施設利用費や介護機器・住宅のバリアフリー化の諸費用を補償する保険の事です。
傷害特約とは??
不慮の事故による死亡や所定の身体障害状態に備える特約です。病気は対象外です。終身保険等の主契約に付随するのが一般的です。
通院特約とは??
病気やケガで入院した後にその治療を目的として通院した場合にかかった費用を補償する特約です。終身保険等の主契約に付随するのが一般的です。
これくらいの知識は相続のプロとして死亡保険の保険証を見るときに瞬時に性質を把握していくには必要です。
生命保険金は相続財産になるのか?についても読み合わせ下さい!
FP司法書士安津畑卓参照HP