貸したお金の返還を請求する又は請求された場合
貸したお金の返還を求める訴訟を、貸金返還請求訴訟といいます。 貸したお金が60万円以下であるような場合は、原則一回の期日で判決が出る少額訴訟ができます。
通常の訴訟では1カ月に1回のペースで訴訟手続きが行われ、時間が膨大にかかりますが、この少額訴訟を使えば速やかに勝訴判決がでます。
貸金返還請求訴訟では、借りた側が、借りた覚えはないなどシラをきるおそれがあります。借用書を作成するなどしていないケースでは、訴訟を起こす前に、内容証明郵便などを使って支払いを催促し、「必ず返すから待ってください」といった内容を相手に返信させて証拠を作ります。
貸したお金の返還を請求する際に注意する事
貸金返還請求訴訟で、とくに注意しなければならないのが利息と遅延損害金です。
利息について
利息についてですが、金銭消費貸借契約(お金の貸し借りの契約)は、民法上、原則として無利息とされます。 しかし、当事者の合意により次の利率を上限として利息を定めることができます。
・元本が10万円未満の場合 年20%
・元本が10万円以上100万円未満の場合 年18%
・元本が100万円以上の場合 年15%
遅延損害金について
遅延損害金についてですが、利息とは別個のもので、債務不履行(履行遅滞)に基づく損害賠償金のことです。支払期日を超えた場合に利息とは別に加算されていくものです。 上記の利率の利息制限法の利率の1.46倍を超えるときは無効とされています。
平成12年6月1日以前になされた貸付けについては旧法の定め(通常利息の2倍)が適用される)。
・元本が10万円未満の場合⇒年29.2パーセント
・元本10万円以上100万円未満の場合⇒年26.28パーセント
・元本100万円以上の場合⇒年21.9パーセント
・貸金業者の場合⇒年20パーセント
・消費者が支払う場合⇒年14.6パーセント
貸金の利息と遅延損害金については、利息制限法という法律によって特別な規制が課されています。この法律の制限を超えた利息や遅延損害金についての取り決めは原則無効です。利息制限法を超える利率の場合、利息制限内に引き直し計算し、元本が正確にはいくらになるかを計算し、訴状に記載します。