成年後見制度の活用例(成年後見人の審査基準)
法定後見の場合、家庭裁判所に申立てを行い、審査のうえ後見人が決定されます。ここで、候補者である親族ではない専門家が選ばれることがあります。どのような判断材料をもって選ばれるのか列挙いたします。
①心身、生活、財産上の本人の状況
②本人の意見
③成年後見人候補者の経歴、職業
④成年後見人が法人である場合は、その事業内容、法人の代表者と本人の利害関係
⑤成年後見人候補者が欠格事由に該当しないこと(未成年者、破産者ではないこと)
⑥本人は訴訟をする必要があるか否か
などを総合的に考慮して決めます。 よって必ず親族が後見人になるとは限りません。家庭裁判所から司法書士や弁護士を選任されることもあります。
成年後見制度の活用例①遺産分割協議
遺産分割や相続手続き(相続による不動産名義変更等)をする際、 認知症の母が相続人なのですが、相続登記や預貯金の解約をする際に問題はないのでしょうか? このような質問を受けることがあります。
相続が発生した後、預貯金、株式、不動産の相続登記をする際など、遺産分割協議をしないといけません。 この遺産分割協議において、相続人の中に知的障害者、認知症、精神障害などの理由で意思を表明できない方がいる場合、法定後見人を選任申立を家庭裁判所にしないといけません。 この選ばれた後見人が、意思を表明できない方の代わりにお話し合い(遺産分割協議)をすることになります。
相続状況は人によって様々です。土地や建物を代表相続人の方に委ね、預金関係を分けるのか。土地や建物などの財産を処分してお金にしてから法律にのっとり分けた方がよいのか。適切な方法財産をわけて後悔しないように仕組みを作る必要があります。
成年後見制度の活用例②クーリングオフ
契約取消 久しぶりに実家に帰ったら、高額そうな健康食品の箱が未開封で置いてあった。認知症の母が買ったようです。どうしたらよいですか?こういった質問を受けることがあります。ここ数年で、高齢者に対する悪質商法が急増しております。 クーリングオフについても本人の意思が必要ですから、認知症の方は本人の名前でクーリングオフをすることはできません。
言葉巧みに、判断能力の低下したお年寄りを狙ってくるものにはやはり、後見人をつけて、契約の取消権を使うことができます。 上記のケースでは、ご本人様がときどき物忘れがあるが、普段はしゃべることができるケースです。このようなときは任意後見契約を結ぶこともできますので、早急にご相談してください。
成年後見制度の活用例③不動産売却
不動産の売却する際 認知症で介護施設に入所している父親名義の不動産を売却して、施設の費用や医療費に充てたいのですが。こういった質問を受けることがあります。不動産を売買する際、当然契約をしなければなりません。認知症の方はこの契約をするにあたって意思表示ができません。同様に、自分の代わりにお子様に土地を売却してもらうように、依頼することもできません。
つまり、必ず本人の代わりになる後見人をつけなければ売却することができません。不動産会社からも後見人のことを言われると思うのですが、提携してるものから言われるがままに後見申立てをすると、通常より費用がかかること多いです。
まず、しっかりと後見人の準備をしてから不動産会社に相談に行くべきです。そのほうが費用も抑えられ、スムーズにお手続きが進みます。