普通自動車相続から遺産分割協議書まで解説します。

亡くなった方が普通自動車を保有していた場合、自動車も相続財産になります。今回は、自動車を相続した後、親族や第三者等(相続人でない孫等)に譲渡する場合の陸運局での普通自動車名義変更手続きをご説明します。

さらには、後見人が相続した普通自動車の名義変更の手続きもご説明します。すべての陸運局の窓口が全く同じ順序で進むわけではありませんが、大まかな流れを把握しておくのが良いと思ます。

考え方としては、「相続による自動車の名義変更」「譲渡による自動車の名義変更」の2種類の申請をすることになります。

普通自動車相続から遺産分割協議書まで解説します。

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相続が発生した場合普通自動車の名義変更の管轄はどこ?

新所有者の住所を管轄する運輸支局で名義変更!

登録を受けている普通自動車の名義変更は、その事由があった日から15日以内(※法律上の期限で、期限が過ぎても特に何も言われません)に新所有者の「使用の本拠の位置を管轄する陸運局」で、名義を譲受人に書き換える移転登録の手続きを行うこととなっています。つまり、新たに所有者となる方の住所(使用の本拠)を管轄する運輸支局で普通自動車の名義変更となっています。

例えば、板橋区にお住いの方がお亡くなりになって板橋区のご自宅で使用していた普通自動車を相続人が相続したとします。

この場合、相続による普通自動車の名義変更の管轄は、新所有者の住所である板橋区を管轄する練馬自動車検査登録事務所です。

相続人が同じく板橋区在住でこのまま使用する場合はこちらの管轄で一括で普通自動車の相続名義変更を申請すればOKです。

※練馬自動車検査登録事務所は、他にも管轄区域として新宿区、文京区、中野区、杉並区、豊島区、北区、板橋区、練馬区を束ねます。よって、いずれかの地で普通自動車を使用したい場合は、練馬自動車検査登録事務所で申請します。

ここで相続人の方が朝霞市在住で今回相続した自動車を朝霞市で使用したい場合は、新所有者の住所である朝霞市を管轄する所沢自動車検査登録事務所に申請します。

※所沢自動車検査登録事務所は、他にも管轄区域として川越市、所沢市、飯能市、狭山市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、ふじみ野市、富士見市、坂戸市、鶴ヶ島市、日高市、入間郡を束ねます。

相続人と被相続人の自動車の使用管轄が異なれば、ナンバー変更が必要になるので注意!

先ほどの事例(板橋区で亡くなった方が板橋区で使用していた普通自動車を朝霞市の相続人が、朝霞市で車を使用する)で、板橋区の管轄である練馬自動車検査登録事務所で名義変更することは不可能です。管轄が変わればナンバーが必ず変更されるからです。

被相続人の名義の自動車を車検場へ持ち込みが必要!

上記の場合、被相続人の名義のまま、埼玉県所沢自動車検査登録事務所まで乗って来て、名義変更するしかありません。この場合、管轄が練馬ナンバーから所沢ナンバーに変わるので、普通自動車を持ち込みの上、ナンバー変更の手続きをしなければなりません。

よって、お亡くなりになった方が使用していた自動車の使用地と距離がある場合も当然あります。

※私が先日普通自動車の相続譲渡の名義変更を代理した件は、千葉県での普通自動車名義変更でしたので習志野陸運局まで行って参りました。

被相続人の名義のままの自動車を運転して事故った場合は?

この移動中、万が一事故を起こしてしまった場合はどうなるのでしょうか。この場合、強制加入が義務付けられている自賠責保険がありますので、所有者以外の運転者が事故を起こした場合でも保険金は支払われることになります。

強制加入である自賠責保険は普通自動車を相続した場合の保険だからです。

※名義が被相続人でも保険金は支払われますが、正式には、陸運局で自動車名義変更後、自賠責保険も名義変更しましょう。

普通自動車の名義変更(遺産分割協議の相続+譲渡)ダブル移転の方法

普通自動車を相続・譲渡の申請書類を2枚提出

「相続による自動車の名義変更」と「譲渡による自動車の名義変更」の2種類の申請を「自動車を使用する場所の陸運局」で一括申請します。下記の流れで必要書類をあらかじめ収集し、現地の陸運局に必要書類を申請します。

少額な普通自動車の遺産分割協議はどうするの?

相続人が複数人いる場合、原則は相続人全員のご実印を押した遺産分割協議書及び印鑑証明書が必要です。しかし、車の価値が少ない場合まで相続人全員に実印をご捺印してもらい印鑑証明書まで取得してもらうのは億劫ですし、時間もかかります。

そこで、査定価格が100万円以下の車を相続人の一人が単独相続する場合は、遺産分割協議成立申立書を使った簡単な方法で普通自動車相続の名義変更をすることができます。査定価格を確認できる資料の写しが必要ですが、遺産分割協議成立申立書には、単独相続する相続人だけの実印をが捺印すれば手続きが可能です。

相続した普通自動車を譲渡する側(旧所有者)の必要書類は?

①印鑑証明書(旧所有者の発行後三カ月以内のもの)

②委任状(代理人を立てる場合旧所有者のご署名、ご実印を押印します。)

③譲渡証明書(旧所有者のご署名、ご実印を押印します。)

④有効な自動車検査証(道路運送車両法により、車検の切れている普通自動車は名義変更手続きができまんせんので、車検が切れている場合には、あらかじめ車検を受けてから普通自動車の名義変更の手続きをします。

⑤遺産分割協議成立申立書(100万円以下の査定書付ければ相続人一人からの申立書でOK

⑥戸籍謄本(被相続人の出生から死亡と相続人の現在戸籍)

相続した普通自動車をもらう側(新所有者)の必要書類は?

①印鑑証明書(新所有者の発行から3ヶ月以内)

②委任状(代理人を立てる場合、新所有者のご署名、ご実印を押印します。)

③自動車保管場所証明書(発行から1ヶ月以内となっているが陸運局の回答では発行から40日間対応可能とのこと

相続した普通自動車検査登録事務所にて記入する書類は何?

①OCRシート(第1号様式)

※2枚(相続用と譲渡用の2枚を記載する必要があります。)

②手数料納付書

※2枚(相続用と譲渡用の2枚を記載する必要があります。)

③自動車税・自動車取得税申告書

※2枚(相続用と譲渡用の2枚を記載する必要があります。)

相続した普通自動車かかる金額(実費部分)

①収入印紙

500円×2枚(相続用と譲渡用の2枚必要です。)

②ナンバープレート(中版2枚)

1,480円

③名義変更する普通自動車の年式が新車から2年以内くらいの残存価値のある新車ですと自動車取得税が課税される場合があります。この自動車取得税の税率は消費税が8%に上がった平成26年4月1日から3%に変更されました。消費税10%になるのと同時に、この自動車取得税は廃止され、新たに環境性能割税が導入される予定です。

普通自動車相続譲渡ナンバーの変更(封印等)に関して

現車を検査登録事務所に駐車し、上記申請書を提出後、旧ナンバーを自分で車から外し、返納して新しいナンバーを受付で受領し、再び取り付けます。その後、封印担当員の方にパチッと封印をしてもらって終わりです。旧ナンバーを外すには、封印をマイナスドライバーで外す作業が必要です。左下あたりをマイナスドライバーで差し込みそのままペリっと剥がします。ちなみにマイナスドライバーは、陸運局に置いてあります。

実際私が外したものはこんな感じ↓

普通自動車を相続した際に剥がした封印です。

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※封印を剥がす順序や備品は陸運局で異なる場合がありますので各陸運局でご確認ください。

専門家後見人が相続した普通自動車の譲渡を行う場合は?

上記相続した普通自動車を譲渡する側(旧所有者)の必要書類にプラスして下記書類を提出します。後見人がついているということは、被後見人の方が認知症等で自動車を運転できない場合です。

この場合、自動車を保有していても自動車税がかかるため、念のため裁判所に連絡票を提出し、意見を伺ったあと、自動車の譲渡をします。被後見人の利益になれば、積極的に譲渡すべきです。

審査手続きについてですが、陸運局の担当者は住所の繋がりについて非常に細かく指摘します。

例えば、後見人である弁護士等の住所地が後見登記事項証明書には事務所が記載してあり、印鑑証明書上の住所とずれてしまう場合は、所属会発行の登録事項証明書を添付しなければいけません。

※私は3年前に取得したものを出してとおりました。発行期限については、うるさく言われませんでした。

①後見登録事項証明書(法務局で取得する後見登記事項証明書)

②所属会発行の登録事項証明書(弁護士や司法書士が後見人で後見登記事項証明書の住所地を事務所の記載にしている場合で、事務所と印鑑証明書の住所がずれる場合に必要とのことです。弁護士なら弁護士会、司法書士なら司法書士会)

③被後見人の住民票(後見人の印鑑証明書を提出するので、被後見人の現住所がわからないから発行後3か月以内の住民票を出せと言われました。実際に原本はとられませんでしたので担当者によるのかもしれませんが、手続きを行ってくれなかったことがありますので要注意です。)

普通自動車を相続した場合、自賠責保険の名義変更の方法は?

普通自動車を相続した場合、自賠責保険の名義変更に何が必要か?

無事に陸運局で名義変更が終わったら他各損害保険会社(取扱代理店)に連絡をとり、自賠責保険や他の自動車任意保険の名義変更のお手続きをします。一般的に下記書類が要求されます。通常取扱保険代理店に連絡をすれば、書類一式を送ってくれますので、戸籍等をつけて申請することになります。

①被相続人の死亡記載のある除籍謄本

②相続人の戸籍謄本

③相続人の印鑑証明書

④名義変更後の車検証

⑤保険会社所定の書類(異動承認請求書等保険会社に連絡して取得します)

相続手続きは一般的なものでもやることが多く煩雑ですが、そんな中、相続人のうち一人相続手続きの煩雑さ負担はより大きくなります。

当事務所では預貯金や株、不動産や自動車を含めた遺産の処理のため戸籍住民票の取得から遺産分割協議書の作成、分配等を遺産整理業務として代理し、迅速な遺産相続承継を可能としております。

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