海外在住している日本人の方が相続人に該当するケースも珍しい事ではなくってきました。
両親がお亡くなりになってしまった場合だけではなく、子供のいない叔父や叔母について相続が発生し、現在海外に居住している日本人が、相続人に該当するケースも当事務所で増えてきています。
海外在住の相続人がどのような相続手続きをするのかについて海外在住者の方を含め相続人全員が確認しておく必要があります。
不動産や預貯金、株式、投資信託、保険等金融資産の相続に必要な書類は?
相続が発生した場合、不動産や預貯金をはじめとした金融資産を遺産整理する際に必要になる書類としては、下記のものを取得する必要があります。状況に応じ取得する書類も増えますが、下記は必須になる代表のものです。
①死亡している者については出生まで遡った戸籍・除籍・改正原戸籍
※相続人が既に亡くなっていてる代襲相続の場合や相続人に該当するものが被相続人の死亡後に亡くなった場合である数次相続の場合も同様に亡くなっている方の出生まで遡った戸籍が必要になります。
②亡くなった方の住民票除票
※不動産の相続の場合附票等によって住所を登記事項証明書とつなげる必要があります。つながらない場合、不在籍不在住証明書、廃棄証明書、上申書等複数の書類が必要になります。年金、保険、葬祭費等の手続きにも必要になります。
③存命する相続人の戸籍、印鑑証明書、住民票
※相続人全員の戸籍謄本を取得しなければなりません。また、遺産分割協議等に捺印する実印と印鑑証明書も相続人全員分必要です。不動産を相続し取得する方については、住民票が必要です。
④遺産分割協議書の作成実印の捺印
※その他不動産の場合は登記申請への作成捺印、登録免許税の納付、預貯金の場合は金融機関所定の相続手続依頼書への相続人全員の署名捺印やローンの支払相殺手続き、抵当権抹消登記、株式の場合は相続承継する証券口座を相続人名義で作成後、相続税がかかる場合は相続税の申告等亡くなった方が保有する資産状況に応じて相続手続きの内容は大幅に変わります。
今回の記事では海外居住者の相続手続きにおいて必須になる①海外在住者の相続戸籍謄本、②海外在住者の相続印鑑証明書・③海外在住者の相続住民票について記載します。
海外在住者が相続人の場合、戸籍謄本はとれる?
海外に在住していても日本に戸籍のある人(日本に国籍があり外国に居住している人を在外邦人といいます)は、本籍地で戸籍謄本を取得しなければならないです。
その他日本にいらっしゃる相続人の方や亡くなった方の戸籍・除籍・改正原戸籍について取得しなければならないことは変わりませんのでご注意ください。
当事務所であれば相続手続きのために必要な事務に関し、国家資格者に認められる職務上請求書(役所に出す公的書面取得用の国家資格者専用の請求書)にて相続人全員の取得が可能です。
海外在住者が相続人の場合、印鑑証明書はとれる?
相続手続の際には、「印鑑証明書」が必要となりますが、日本に住所登録をしておらず海外に在留している日本人には発行されません。
発行されないのでは相続手続ができませんので、当該印鑑証明書の代わりとして在外日本領事が発行する「署名証明書(サイン証明書)」があります。
署名証明書とは、日本での手続の為に発行される者で申請者が確かに領事の面前でなされたことを証明するためのもので、一般的に次の2種類があります。
①申請者が領事の面前で署名した私文書※相続手続きを司法書士に委任する場合は委任状、遺産分割協議書)と領事が発行した証明書を合綴し割印するもの
②申請者の署名を単独で証明するもの※ただし在外日本領事が発行する署名証明書以外に日本現地公証人が発行する署名証明書や、一時帰国の際に日本の公証人によって遺産分割協議を公証する証書でも可能です。
海外在住者相続人の場合、サイン証明取得の必要書類は?
①署名証明(領事部窓口にて入手)
②本人確認ができる旅券
③発行手数料※現地通貨現金(1通1,700円相当)
④遺産分割協議書・委任状(代理人に依頼する場合必要)
サイン証明書)
海外在住者相続人のサイン証明申請にあたっての注意点
署名は、申請人が直接来館の上、担当官の前で署名(及び拇印)をします。委任状の署名欄は、空欄のまま大使館へ持参するようにしてください。事前に氏名や拇印の押印された書類は、改めて署名や拇印を押印することになるため
日本の印鑑証明書にならい、署名、住所、生年月日の記載のあるサイン証明書を取得します。
通常司法書士が相続手続きをする場合、証明力が高い遺産分割協議書や委任状に合綴したサイン証明(上記①のタイプ)で手続きをとります。
上記が一般的な手続きですが、詳細の手続きは場所によって異なる可能性があるため、取得の際は現地の在外公館にお問合せをお勧めいたします。
海外在住者が相続人の場合、住民票はとれる?
日本に住所を登録している方に発行される書類です。
よって、海外居住者である日本人には、日本で住民登録していない限り発行されませんので、その代わりとして在留証明書を取得します。
※預貯金等金融資産の相続については、サイン証明書に住所が記載されていれば不要とされてます。
※相続税がかかる場合、サイン証明書や在留証明書を取得する場合は、海外からの郵送等で日数がかかるため相続税申告期限である死亡日から10ヶ月を過ぎないように注意する必要があります。
海外在住者相続人の在留証明書申請の必要書類は?
① 在留証明願(領事部窓口にて入手)
② 本人確認ができる旅券
③ 住所を確認できる文書
(例:現地の官公署が発行する滞在許可証、運転免許証、納税証明書、あるいは公共料金の請求書等に住所の記載がある現地の警察が発行した居住証明等)
④ 滞在開始時期(期間)を確認できるもの。
また、滞在期間が3ヶ月未満の場合は、今後3ヶ月以上の滞在が確認できるもの(賃貸契約書、公共料金の請求書等)。
⑤証明書上の「本籍地」欄に都道府県名のみではなく、番地までの記載を希望する場合は戸籍謄本。
⑥発行手数料※現地通貨現金1通につき邦貨1,200円相当
海外在住者相続人の在留証明書申請の必要書類は?
※証明書上に最終提出先を記載する欄があります。(東京都板橋区の不動産相続名義変更なら東京法務局板橋出張所等、金融機関ならゆうちょ銀行等)
※在留届が大使館に提出されていることが必要になります。
※公的年金(国民年金、厚生年金)受給手続きのために在留証明書を申請される方は、手数料免除。但し、私的年金(企業年金等)、共済年金の受給手続きのために在留証明書を申請する方は有料。
※上記が一般的な手続きですが、詳細の手続きは場所によって異なる可能性があるため、取得の際は現地の在外公館にお問合せをお勧めいたします。
海外在住者のいる相続手続(遺産整理)なら相続おまかせプラン
相続手続きは一般的なものでもやることが多く煩雑ですが、そんな中、相続人のうち一人でも海外在住者がいる場合は手続きの煩雑さ負担はより大きくなります。
当事務所は設立当初より相続に特化した事務所です。
戸籍住民票の取得から遺産分割協議書の作成、不動産の場合は登記申請への作成捺印、登録免許税の納付、預貯金の場合は金融機関所定の相続手続依頼書等当事務所作成、ローンの支払相殺手続き、抵当権抹消登記、株式の場合は相続承継する証券口座を相続人名義で作成後、承継売却手続きから分配等を遺産整理業務として代理し、原則印鑑証明や委任状を頂くのみで、迅速な遺産相続承継を可能としております。
ご相談は無料ですが、本人確認のため相続人ご本人様と面談で行います。