相続人の中に行方不明者がいる場合は、不在者財産管理人・失踪宣告
相続人の中に行方不明者がいる場合のお手続きを説明します。この場合、不在者財産管理人の申立もしくは失踪宣告をしなければ、相続人の中に行方不明者がいて財産を分配できません。
そして、土地建物の名義が変更できず、売却ができなくて困っている方は、 調査をかけて、最新の住所地を調べます。 その後、行方不明ということで裁判所に申立をし、その方の財産を管理してくれる方を選任します。これを不在者財産管理人といいます。
法律上業務権限が認められている専門家(司法書士や弁護士)が選任されることが多いです。
※司法書士法施行規則31条に司法書士の業務として財産管理業務等についての規定が新設され司法書士による財産管理業務が明文で認められています。 財産管理業務を具体的に説明しますと、遺言執行者、相続財産管理人、不在者財産管理人、遺産分割協議書による財産管理業務、個人の方からの財産管理業務などがあります。
不在者(行方不明なもの)がいても必ず相続人全員の署名(記名)実印の捺印が必要!
相続手続きで必要な遺産分割協議をする際は、不在者を除外して協議をしても、それは適法な協議ではありません。
なぜなら、遺産分割協議は必ず相続人全員でしなければ成立しないからです。これは不在者がいる場合でも同様です。不在者財産管理人が代わりに参加し、署名実印の捺印をします。
ただし、参加するにも不在者財産管理人の権限はあくまで管理することなので、現状に大きな変更が伴う財産を「処分」するには家庭裁判所の許可が必要です。 遺産分割協議も、財産を「処分」する行為になりますので裁判所の許可が必要です。また、通常の遺産分割協議書では不在者の法定相続分を残して管理しなければいけないので、不在者の方の財産を動かせません。このような問題を解消するためには、高度なテクニックが必要です。
不在者財産管理人選任申立と失踪宣告について
不在者の生死が7年間明らかでないときは、失踪宣告という制度もあります(普通失踪)。 船舶や飛行機の事故の場合はその危難が去った後1年間生死が明らかでないときも同様です(危難失踪)。
不在者がいる場合、まず家庭裁判所に不在者財産管理人という人を選任してもらいます。そしてその人が不在者の代わりに遺産分割協議に参加して協議を成立させます。
ただし、遺産分割協議は不在者財産管理人の職務の権限を越える行為となりますので、さらに家庭裁判所に対して、権限外行為許可の申立てをします。失踪宣告の場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをします。
失踪宣告の審判が確定すると、その人は法律上死亡したものとみなされるので、遺産分割協議の当事者から外れることになります。
「死亡したものとみなされる」とは、もしどこかで生存されていたとしても死亡の事実は確定するので、親族の感情を十分に考慮して申立てをする必要があります。
仮に生存されていた場合、失踪宣告の取消しという制度がありますのでご安心ください。 なお、失踪宣告により、相続人の範囲が変わることもありますので注意が必要です。
失踪宣告の要件
上記で説明した失踪宣告についての詳細 ⇒相続人が長期間行方不明の場合の失踪宣告とは、生死不明の者に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。
①不在者の生死が7年間不明の時 (普通失踪)
②震災や戦地に行ったり、沈没した船舶に乗船していたり、その他死亡の原因となる危難(震災など)の去った後1年間不明の時(危難失踪)
上記①又は②に該当する方の失踪宣告の手続きを行います。 実務上、7年間の起算点をどの時点でどのような書類で起算するかがポイントとなります。
※普通失踪は、生死が明らかでなくなって7年経過したときが死亡時点となります。※危難失踪は戦争、船舶の沈没、震災などの場合は、「危機が去ったとき」が死亡時点になります。
そして、死亡時点において、失踪者についての相続が開始され、婚姻は解消し、死亡したものとして相続財産の受け取り、保険金の受取ができることになります。通常は、どこかで生きていると思いたいものです。
そこで、申立をしなければ、戸籍上は生きたままです。死亡届がなされなかった高齢者は、職権で、戸籍が抹消されることになります。
失踪宣告後に生存が確認された場合
失踪宣告後に失踪者の生存が確認された場合は、「失踪宣告の取消」を申し立て、審判確定後、失踪は取り消され、宣言そのものがなかった事とされますので安心です。
そして、失踪宣告後その取消前に、生存していた事情を知らないで行った行方不明者の財産を消費する行為は、宣告が取り消されてもその効力は失われません。
また、失踪宣告によって直接財産を得た親族(相続人)は、「現に利益を受けている限度」で財産を返還すればよいです。裁判書類については司法書士みなづき事務所にお任せください。
高度なテクニックにより、ご依頼者の方にメリットが出るように方策を練ることができます。
行不明者の方のご相続につきまして当事務所の経験則に基づいた(例えば財産が少額な場合は帰来時弁済という方法をとることにより不在者・行方不明の財産を相続人の方々にお分けすることができるなど行方不明の方の状況に応じた)ご提案が可能でございます。当事務所の司法書士が不在者財産管理人に就任また失踪宣告まですべて対応致しますのでご安心してご相談ください。